第1回 5月10日キックオフ講座 講師:北澤宏一

 

(講演の目的)
「原発問題を国民が今後どの様に考えていったらよいか」、その材料になるようなデータを提供し、皆さんと一緒に考えることが講義の一番の目的である。

 

(原発は止められるか)
3.11
福島第一原子力発電所事故後、誰しもが出来ることなら原発は止めたいと思っている。しかし、止められるのか。
それを考えるうえで、どの程度原発が危険なものか、止めた時に生活が成り立つのか、知っておく必要がある。

 

(原発の危険性評価の二要素)
原発の危険性を考えるとき2つの要素がある。

 

1つは事故がどの程度の確率で起きるのか。世界では深刻な事故が30年の間に3回起きた。その原因はほとんどが人の間違えによるものであった。
 もう一つは、きわめて小さい確率でも起こる事故、その深刻さの程度をどの程度に抑えることができるのか。福島の事故が、例えばスイス等で起こっていたとしたら彼らの国はおしまいであった。もはや確率の問題ではない。

 

(原発の別の課題)

 

仮に安全に原発を運転出来たとしても、発生する放射性廃棄物は、後世に残していくことになる。子孫との衡平の問題、これが我々世代の国民の倫理観として許せるのか、許せないのか。

 

3.11以降の経済と原発停止の影響)
原発を止めた時に生活が成り立つのか考えてみる。
先ず、電力が足りなくなるのではないかと初期には言われていた。
⇒しかし、節電と、炭酸ガスを沢山排出するが火力に頼ればなんとかなるということはわかった。
次に経済がおかしくなるぞということが言われていた。
⇒だが、景気動向指数で見ると、3.11はほとんど影響を与えていないことが分かる。景気の良し悪しが一番よくわかる失業率で見ても、リーマン・ショック後徐々に回復してきていて、それまでのトレンドの中に3.11はあり、原発の停止は、影響していない。

 

(国富とエネルギー経済)
また、日本は原発を再稼働しないと、化石エネルギーの輸入が増大し、毎年1.5兆円~3兆円ぐらい国富が失われる、と言われることが多い。
 ⇒最近23年の輸入増加は、2030兆円、輸出減は、1015兆円、原発停止寄与分は、全体の貿易赤字トレンドのごく一部(約1割)に過ぎない。もっと大きなトレンドは、円高による製造業の海外逃避の継続と第3次オイルショックによる化石燃料の高騰が2004年頃から起きていて、3.11はそのトレンドの中にある。

 

(原発の代替は二つ)

 

原発の代替は化石エネルギーか、再生可能エネルギーかのどちらか。地球温暖化問題は、100%確証はないが、可能性はかなりあり、それを考えざるを得ない。
再生可能エネルギーの発電量を増やしていけば、電力料は今までよりも高くなる。ドイツは、電力費は高くなってきており、これまで年間一人当たり4万円を自然エネルギーに投資してきて、原発の発電量を超すほどになった。

 

(日本の選択)
日本は、自然エネルギーに国全体で年5兆円の投資を行うことができるかどうか、何が幸せか、国民の選択である。

 

(文責:二宮豊)