9月20日 いま、市民にできること!! グローバルなエネルギー変革「地域からの挑戦」 講師 飯田哲也氏

 

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10回 認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所(ISEP)所長

 

    飯田哲也氏

 

講義名:いま、市民にできること!! グローバルなエネルギー変革「地域からの挑戦」

 

 

 

 今、グローバルなエネルギー変革が起きている真っ最中で、それがある意味地域からの挑戦が直結している非常に面白い時代、市民がいろいろ取り組む時代になっている。

 

 

 

第三の転換期

 

 福島第一原発事故は、日本の近代史における第3の転換期として受け止めるべきではないか。

 

 第一の転換期は江戸時代の侍の封建時代から近代憲法を持った近代国家へと大きく転換をした明治維新。その時にこの国のかたちは富国強兵であり、まずその強兵の部分が肥大化していって、第二の転換期である敗戦、広島、長崎の原爆で、強兵の部分が木っ端微塵に砕け散った。

 

富国の部分は極めて中央集中型の経済で、その後の高度成長期以降、いわゆる大量生産、大量消費型の経済で、たしかに日本は豊かになったけれども、エネルギーを含めた社会のあり様が、福島第一原発事故で砕け散ったのではないか。

 

 

 

福島第一原発事故を契機とした変化

 

福島第一原発事故は、大きな不幸中の小さな3つの幸いがあった。

 

 第1は、省エネと節電が進んだこと。2010年東京電力管内は6000kW、夏のピークにあったが、2011年以降、今年の夏まで およそピークは5100kW20%ピーク電力の削減に成功している。節約効果がおよそ1兆円と大体見積もることができ、よく、安倍政権や、経団連とかが、「原発が止まっているから国富は36000億円流出しているんだ」と言うが、実は節電で1兆円節約できている

 

 第2は、自然エネルギーが爆発的に増え始めたこと。1年間に世界全体で風力発電は、去年は3500kW(設備容量、いわゆるkWで見て)増え、100万kw原発や石炭火力の大型発電所の35基分ができている。去年の暮には32000kWの風力発電があるという状況だ。

 

太陽光発電は風力発電を逆転して3700kWが世界全体で増えて、累積では14000kWである。

 

原子力は正味のところはほとんど増えてはいない。世界全体の原子力発電所の発電量のピークは2006年、実は3.11より前にある意味ピークアウトをしている。日本の原子力発電所の発電量のピークは1998年である。原子力は世界全体で、およそ430基、37000kW。風力と太陽光の2つで、46000kW、原子力の設備容量を超えている。正に倍々ゲームで、あっという間に膨れ上がってきた。これが今日、自然エネルギーに関して、今世界で起きていることである。

 

価格も世界全体では自然エネルギーは安いというのが常識として大きく変わってきている。こういう大量生産型のハイテク製品というのは、知恵と技術開発とノウハウの蓄積が性能の向上とコストダウンを生み出す。

 

ドイツは2012に自然エネルギーが17%まで普及した。昼間の太陽光が、昼間のピークをカバーしている。そうするとピークにもかかわらず価格が下るという面白い現象が出始める。

 

ドイツは2020年に原発が全部なくなる。その時にコージェネレーションのバイオマスとか、風力、あるいは太陽光といった変動型電源が電力供給価格の一番底に来ると。あと、石炭、天然ガスはそれをバックアップするような形になる。ベースロードというのは底でジーっと平らに供給しているものだという考え方は終わっている定義だ

 

 

 

 最も大事な転換は、大規模集中独占型から地域分散小規模分散ネットワーク型へのエネルギーの構造転換が始まっていること。

 

今から30年前のデンマークは、大きく2つの電力会社が十数基の石炭大型火力を使って電気を一方的に送りつけていた。今は、6500基の風力発電と1000基のコージェネレーションがあり、なおかつ、この75%を地域の人達が持っている。 ドイツが今ドンドン増えていって、およそ5割を超えたところだ。

 

日本は東京の商社・大きな会社・外資が地域にズカズカ入り込んでいって、植民地型の所有形態が九十数%である。

 

 

 

自然エネルギーのポイントは地域のオーナーシップが原則である。地域で使われているエネルギーは地域経済GDPでおよそ5%。日本全体で見て化石燃料、石油、石炭、天然ガスをおよそ25兆円輸入しているから、GDP500兆円のうち25兆円輸入ということは、これも、およそGDP5%。輸入はGDPにすると直接マイナスなので、GDPマイナス5%ということだ。地域経済を考えても出て行くお金を内に留めれば、マイナス5%がゼロになるというか、相対的にプラス5%になるので、それだけでも地域経済にとって非常に大きな意味がある。

 

 地域の外からくるものに100円使ったら、その100円はそのまま出て行くのでマイナス100円になるが、地域の中で生み出されたものに100円を使うとその100円は、循環して200円から400円の効果になる。

 

 更に幅広い意味ではそれが自分たちのものだと思えることが大事だ。そのためには、意思決定もみんなで決めていくということ。 そこから生まれる経済的利益と社会的な便益、地域の誇りが共有できる。コミュニティパワーでの共有が多い風車プロジェクトはほとんど反対運動が見られない。

 

 

 

 3.11の原発事故があって、大不幸中の3つのささやかないいことの3つ目はあの事故を目の当たりにして日本中の人が1度はエネルギーとか地域社会とか環境とか、原発も含めて真剣に考えたということ。これが大きな日本社会全体の財産ではないか。これが日本中にエネルギーを自ら生み出す社会的な、あるいは精神的な、非常に豊かな土壌になっている。

 

 

 

 石油・石炭・天然ガス・原子力の4つのエネルギーは資源が有限で、これは入り口の持続不可能性。廃棄物、つまり、二酸化炭素とか、様々な大気汚染とか、そして核廃棄物とか場合によっては福島第一原発事故のようなとてつもない事故を含めた出る側も人類の持続不可能性を脅かす大きなもので、出口の持続不可能性がある。この入口と出口を考えるとこの4つのエネルギーから自然エネルギーに置き換えつつ、エネルギーの効率化で消費量を減らしていくことで、持続可能な社会を目指すべきだ。

 

 

 

何のためにエネルギーを使っているか。例えば明るさなど、エネルギーサービスを得るためにエネルギーを使うのだ。これまで節電とか省エネというと、我慢とういうのがイメージにあったが、今まで使っていたサービス、便利さをそのままにロスのところを大幅に減らすように見直しすれば、エネルギーは大幅に、場合によっては10分の1まで減らせる。

 

 

 

経済成長にはエネルギーが欠かせないのだというのは、完全に遅れた考え方だ。ドイツはGDPを増やしながらエネルギーそのものを減らすことと、自然エネルギーへの転換、その2つで二酸化炭素排出量を減らしている。エネルギーを減らしながら経済を成長することが出来る。

 

 

 

最終的にはエネルギーを使うとき、一人一人と社会全体、そして、将来世代も含めた幸福というものが究極の目的に見据えておくべきものなのではないか。そこからエネルギー選択、そして、エネルギーをどう使うか、そして、どう暮らすかというところまで、見ていけると良いのではないかと考えている。