第8回 8月23日 地方自治とエネルギー  講師 倉阪秀史氏

【再生可能エネルギーの現状】

 

・再生可能エネルギーとは究極的には天体エネルギーによって資源基盤が更新するもの、具体的には太陽エネルギー、地中のマグマ、月による潮汐である。

 

・五大再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)から得られる発電について固定価格買取制度の対象になった。将来は潮汐力や波力も実用になる。

 

・永続地帯研究のコンセプトは地域ごとに再生可能エネルギーの自給率を見える化し、地方自治体の政策目標の1つとして、エネルギー自立が位置づけられるようにしようとしたもの。自治体がコントロール出来る領域で目標設定することとし、民生用エネルギー需要と農林水産業用エネルギー需要に絞って、自給率を出している。(本来は輸送用のエネルギーも加えたいが、データが得られないので抜けている。) それと食料自給とを合わせて、自治体の中でどこが計算上生き続けることができるかを見えるようにしようとするものだ。

 

・日本全体では2012年度末で民生用と農林水産業用のエネルギー需要の3.7%が再生可能エネルギーで賄われている。しかし工場生産、輸送用、エネルギー転換用を入れていくと、1%台に落ちてしまう。

 

・地方自治体レベルでは、50の市町村でその域内の需要を上回るエネルギーを再生可能エネルギーだけで生み出しており、計算上自給が出来ることになっている。

 

・都道府県レベルの自給率は、大分県が大体23%。地熱発電と温泉熱が主である。大分は昭和47年の環境省の厳しい規制の前に計画が着手されていたので、例外的に国立国定公園の中で認められた所である。その後20123月に方針を転換し、国立国定公園の特別地域で住民同意が出来て、環境保全にちゃんと配慮しているものであれば認めても構わないとなった。

 

・一番自給率の低いのが東京都で、エネルギー需要がバカでかいので、自給率にすると0.38%しかない。ただし、太陽光と太陽熱は屋根がたくさんある分、たくさん置ける都会型の再生可能エネルギーで、供給密度ランキングで全国3位となる。

 

・千葉県は自給率ランキグ38位で1.73%。市原にでかいバイオマス発電ができていてバイオマス発電は1位である。しかし海外から原材料を輸入してきていて、これも日本の固定価格買取制度の対象になってしまうことに疑問は感じる。

 

 

 

政策の状況

 

・固定価格買取制度が全種全量のものが20127月からできて、太陽光が計画が立ってから運用開始までの期間が一番短いので、太陽光が見た目、すぐに反応し、設備認定の中の9割が太陽光だ。ただし、メガソーラーの運転開始が遅れている所がかなりある。風力、水力、地熱、バイオマスの計画は水面下で動いている。

 

1995年に大口部分についての電力自由化が進められ、その結果として既に石炭火力が倍増している。安価に発電が出来るような状況になっており、温暖化対策からいうとかなり逆行する。

 

・原発は新増設をしないで40年で停止するということになると、2040年には5基になる。原発はつなぎの発電でしかない。新増設は民間の電力会社の力ではやれない。だから、最近 経産省の原発官僚は維持費も含めて電力料金に忍び込ませようと動いている。その国民負担があれば、再生可能エネルギーの方に回してほしい。

 

 

 

【再生可能エネルギーの将来】

 

2009年に原発が発電をしていた電力量は、再生可能エネルギーにより、それぞれのポテンシャルの範囲内で稼働率も勘案し組みあわせることにより十分賄うことができる。

 

2030年までに原発代替設備をいれるためには、年間平均事業費が2兆5000億という試算をしている。道路事業が3兆円でそれよりも少ない。これを税金で払うのではなくて、100兆円ある民間投資から2兆円産業、最終的には4兆円産業にするため、それを引き出そうということで固定価格買取制度が導入されている。

 

・再生可能エネルギーは安定的に供給するために、電力会社間の融通の強化、ダイナミックプライシングで需要のコントロールが必要である。東京電力管内は2020年にはスマートメーターがみんな入り、何時使った電力なのかが記録されるようになる。だからダイナミックプライシングが可能になる。

 

 

 

【当面、何をしなければいけないのか】

 

・それでも2030年時点で化石燃料による電力はは残ってしまうが、今の化石燃料の使い方はまだまだ効率的ではない。出来る限り需要地に近いところで熱と電気を一緒に供給するコジェネを入れていくということが短期的に出来る解決策だ。民主党時代の革新的エネルギー環境戦略では、2500万kwをコジェネで入れるとしていた。これは原発25基分である。ただし熱を使い切ることが大切だ。そのため熱融通が必要で、街区で、もしくは10人ぐらいあつまってコジェネをいれて熱供給するなどの必要がある。そのためにはまちづくりが必要だ。地方自治体がエネルギー政策をやらなければいけない。

 

・再生可能エネルギーは地域によって大きく違う。だから地域の風土、地域の状況に応じた計画とする必要がある。これにはまず地方で考える必要がある。地方自治体主導でいろいろ盛り立てていくことが必要だ。さらに地域主導で入れていく必要がある。固定価格買取制度の最大の問題点は、外部資本の事業が多く、富める者がますます富めるようになっていることだ。ドイツでは40%は個人、11%が農家所有で、地元の金融機関が、市民組合にお金を貸してくれるからできる。このようなことが日本でできないか、いくつもの条例案を考えて公表してきている。

 

・これからのエネルギー政策は、100年以上を考えてズッと持続できることを選択していかなければいけない。まず、その選択を地方自治体から変えていくと、こういうような形で世の中、変わっていけばいいと思っている。

 

文責 二宮 豊